特集 エアガン用ガスの今後は? |
2021/5/10 |
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エアガン用ガスの今
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皆さんご承知の通り、フロンガスは燃え難くく人体に無害と言う事で広く普及してきましたが
オゾン層を破壊し温暖化効果も有る事が分かり、国際的に規制が厳しくなっています。
スプレー缶用、エアコンや冷蔵庫の冷媒として使われていた元々のフロンガスは
既に全廃されており、現在は代替フロンと呼ばれるガスが使用されていますが
このHFC系代替フロンは、オゾン層は破壊しないものの依然として高い温暖化効果を
持っています。
ですので代替フロンについても既に、段階的に削減することが決められており
経済産業省の削減スケジュールによると、2019年を基準として2024年までに40%
2029年には70%、2036年では85%という削減計画が立てられています。
以前から冷媒用フロンガスをガスガンに流用し、使い続けてきたエアガン界も
例外なく岐路に立たされていると言えます。
今まで発売されてきたガスガン用ガスはHFC134aとHFC152aという代替フロンガスですが
近い将来、徐々に入手困難になり価格が高騰し続けて、最終的には全廃という
シナリオは避けられないでしょう。
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エアガン用ガスの今後
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代替フロンガスが使えなくなる以上、ノンフロンの新しいガスが必要になるわけですが
その一つは、最近普及して来た小型のCO2カートリッジをマガジンに装着して使う
ガスガンですが、これだと今までのガスガンには使えません。

CO2ガスガン カーボネイト M45 CQP
現在代替フロンの「代替」として、もう一種類発売されているのは、マルイさんと
S&T(だけど日本製)から発売されているHFO1234ze+LPGという、ノンフロンガス。
これならば今までのHFC134aガスと使い勝手は変わりません。
また今後もノンフロンの新しいエアガン用ガスが出てくるかも知れません。
今回は代替えフロンと、現在新しく登場したノンフロンガスの性能を比較検証します。
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ブローバックガスハンドガンでの初速テスト 1
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マルイ製ブローバックガスガンのV10ウルトラコンパクトを使用して
約1秒間隔で全弾発射した時の初速の変化を見てみます。
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マルイV10 |
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気温 |
28.4℃ |
湿度 |
78% |
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HFC134a |
HFC152a |
マルイ
HFO1234ze
+LPG |
S&T
HFO1234ze
+LPG |
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1発目 |
62.7
|
61.9 |
57.8 |
62.9 |
m/s |
2発目 |
62.2 |
61.8 |
56.8 |
62.8 |
m/s |
3発目 |
61.9 |
61.4 |
--- |
62.5 |
m/s |
4発目 |
61.0 |
61.0 |
56.6 |
62.0 |
m/s |
5発目 |
60.9 |
60.8 |
56.3 |
61.9 |
m/s |
6発目
|
61.5 |
60.8 |
56.4 |
61.3 |
m/s |
7発目 |
61.5 |
60.3 |
--- |
61.5 |
m/s |
8発目 |
61.3 |
60.6 |
--- |
61.3 |
m/s |
9発目 |
61.4 |
60.3 |
54.2 |
61.1 |
m/s |
10発目 |
--- |
60.2 |
--- |
60.8 |
m/s |
11発目 |
60.7 |
59.8 |
--- |
60.6 |
m/s |
12発目 |
60.8 |
59.9 |
56.7 |
60.6 |
m/s |
13発目 |
60.5 |
59.6 |
55.6 |
60.6 |
m/s |
14発目 |
60.1 |
59.4 |
55.7 |
60.3 |
m/s |
15発目 |
60.0 |
59.4 |
55.2 |
59.5 |
m/s |
16発目 |
60.0 |
59.2 |
55.5 |
59.1 |
m/s |
17発目 |
59.5 |
59.2 |
54.7 |
59.5 |
m/s |
18発目 |
--- |
58.7 |
--- |
58.7 |
m/s |
19発目 |
59.6 |
58.6 |
54.2 |
58.9 |
m/s |
20発目 |
--- |
58.3 |
53.7 |
58.5 |
m/s |
21発目 |
59.6 |
58.1 |
53.8 |
58.5 |
m/s
|
22発目 |
59.1 |
58.6 |
53.6 |
57.8 |
m/s
|
|
---の部分は計測失敗 |
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ブローバックガス・ライフルでの初速テスト 1 |
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マルイ製ブローバックガスガンのAKMを使用して
約1秒間隔で全弾発射した時の初速の変化を見てみます。
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マルイAKM |
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気温 |
28.6℃ |
湿度 |
76% |
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HFC134a |
HFC152a |
マルイ
HFO1234ze
+LPG |
S&T
HFO1234ze
+LPG |
|
1発目 |
76.4 |
85.8 |
79.0 |
82.6 |
m/s |
2発目 |
76.0 |
88.2 |
75.7 |
79.1 |
m/s |
3発目 |
78.0 |
--- |
73.9 |
77.6 |
m/s |
4発目 |
76.9 |
83.6 |
75.3 |
80.2 |
m/s |
5発目 |
75.2 |
--- |
73.0 |
79.2 |
m/s |
6発目
|
--- |
84.6 |
73.7 |
78.1 |
m/s |
7発目 |
--- |
--- |
74.0 |
79.2 |
m/s |
8発目 |
76.3 |
--- |
72.1 |
76.8 |
m/s |
9発目 |
79.8 |
--- |
74.4 |
77.3 |
m/s |
10発目 |
78.0 |
--- |
73.7 |
76.3 |
m/s |
11発目 |
73.8 |
--- |
72.4 |
75.6 |
m/s |
12発目 |
75.0 |
--- |
72.3 |
75.8 |
m/s |
13発目 |
77.3 |
82.1 |
72.8 |
75.4 |
m/s |
14発目 |
72.7 |
84.2 |
71.4 |
76.0 |
m/s |
15発目 |
77.0 |
82.4 |
71.9 |
75.1 |
m/s |
16発目 |
73.1 |
82.1 |
71.0 |
76.4 |
m/s |
17発目 |
75.6 |
79.6 |
71.4 |
73.7 |
m/s |
18発目 |
74.2 |
82.6 |
71.6 |
77.3 |
m/s |
19発目 |
77.7 |
81.3 |
73.5 |
74.9 |
m/s |
20発目 |
75.6 |
79.7 |
69.2 |
73.9 |
m/s |
21発目 |
73.3 |
82.5 |
70.4 |
75.2 |
m/s |
22発目 |
72.7 |
80.6 |
71.6 |
73.6 |
m/s |
23発目 |
74.5 |
77.7 |
70.0 |
73.8 |
m/s |
24発目 |
73.0 |
81.5 |
69.3 |
76.9 |
m/s |
25発目 |
74.3 |
79.1 |
69.7 |
73.9 |
m/s |
26発目 |
73.6 |
77.6 |
70.0 |
73.8 |
m/s |
27発目 |
71.0 |
79.5 |
68.4 |
73.9 |
m/s |
28発目 |
72.1 |
79.7 |
69.7 |
71.7 |
m/s |
29発目 |
72.0 |
79.6 |
68.2 |
72.8 |
m/s |
30発目 |
73.4 |
78.6 |
68.8 |
72.3 |
m/s |
31発目 |
70.9 |
80.0 |
68.7 |
70.9 |
m/s |
32発目 |
72.5 |
77.2 |
69.4 |
71.7 |
m/s |
33発目 |
70.5 |
78.4 |
66.6 |
70.5 |
m/s |
34発目 |
71.5 |
79.1 |
64.7 |
72.1 |
m/s |
35発目 |
72.6 |
80.7 |
65.7 |
67.3 |
m/s |
|
---の部分は計測失敗 |
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ブローバックガスハンドガンでの初速テスト 2 |
マルイ製ブローバックガスガンのV10ウルトラコンパクトを使用して
秒間3~4発程度で、15発連射した後初速を計測して変化を調べました。 |
|
HFC134a |
HFC152a |
マルイHFO |
S&T HFO |
連射前 |
62.3 |
61.7 |
57 |
62.7 |
連射後 |
58.4 |
60.3 |
53.5 |
57.7 |
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ブローバックガス・ライフルでの初速テスト 2 |
マルイ製ブローバックガスガンのAKMを使用して
秒間3~4発程度で、30発連射した後初速を計測して変化を調べました。 |
|
HFC134a |
HFC152a |
マルイHFO |
S&T HFO |
連射前 |
76.8 |
85.9 |
76.2 |
79.8 |
連射後 |
73.3 |
79.9 |
65.6 |
71.3 |
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現在の各種エアガン用ガス |
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ウッドランド
BB GAS 500
HFC-134aフロンガス
オゾン層破壊無し
地球温暖化係数 1,430
不燃性ガス
代替フロンのスタンダードとして多く使われてきた
HFC-134aも、今では悪者の仲間入りです。
不燃性だし、気管の弱い私には狭い室内でも影響が
無く優しいガスなので、好んで使用していただけに
いずれ無くなってしまうのは残念です。
地球温暖化係数
l l
二酸化炭素を基準「1」として、放出された気体の
濃度あたりの100年間の温室効果の強さを比較して
表したもの。 |
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LayLax
ハイバレットガス
HFC-152aフロンガス
オゾン層破壊無し
地球温暖化係数 124
可燃性ガス
こちらもHFC-134aと共にエアガンに使われている
代替フロンガスです。
地球温暖化係数がHFC-134aより一桁低い値なのですが
容赦なく削減されていきます。
私はHFC-152aガスはHFC-134aよりも
ややガス圧が低いという認識でしたが、今回のAKMでの
初速計測では、何故か逆転してしまっています。
今の季節が夏なので、気温が影響してしまったのか?
計測方法や計測機器の誤差等影響したのかも
しれません。
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東京マルイ
ノンフロン・ガンパワー
HFO-1234ze/LPGノンフロンガス
オゾン層破壊無し
地球温暖化係数 1
可燃性ガス
ガスガンの次世代を担うノンフロンガス。
マルイさん自身が言われていますが、ガス圧が
やや低く、作動性や初速がHFC-134aに比べて
10%程度ダウンするそうで、今回の計測でも
その様な結果が出てますね。
連射によるマガジンの冷えに対しても
あまり強くない様です。
今は夏で気温が高く、確かに撃ち応えは落ちますが
作動や初速が問題になる程では無いです。
が、季節が変わると厳しくなるかも知れません。
地球環境には優しくて、地球温暖化係数は「1」です。 |
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S&T
ダンガン ハイパーガス
HFO-1234ze/LPGノンフロンガス
オゾン層破壊無し
地球温暖化係数 1
可燃性ガス
マルイ製と同じ、HFO-1234ze/LPGノンフロンガスですが
成分の配合比率が違うのか、こちらは性能的には
HFC-134aガスとほぼ同等で、今までと何も変わる事なく
使う事が出来ます。
涼しい季節になっても、この性能を維持してくれたら
嬉しいのですが。
まだ発売して間がないのですが、これから普及していけば
価格的にも入手し易くなるかも知れませんね。
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